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人間の精神に関わりたい
その空間にいると「生きる力」を取り戻せる
元々、空間にはそんな力があると信じて、そんな空間をつくりたくてここまでやってきた
だが、世間一般の多くは空間のデザイナーによもやそんなことを考えている者がいるとは思っていないし、期待もしていない
そんな一般の網に絡めとられる中で、嘯く自分が滑稽に見えてきて、志を失っていくデザイナーが後を絶たない
きっと他のどんな仕事についても同じことが言えるだろう
しかし、この社会の中では、実はそういう人たちの方がむしろまともで、ぼくがこの年になって平気で空間の力を信じていると言えるのは、他人は持っている何かがぼくに欠けているからに過ぎない
そんな自分の欠損を自覚したのはそんなに昔のことではないのだけれど、ぼくの好きなモノやコトについて思い出してみると、どうやら何かが欠損している状態を好むところが昔からあったように思う
そんな自分が壊れゆくモノを素材とするSOTOCHIKUにたどり着いたのは、必然だったのだろう