gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

89マイル

11月20日オープン予定の「SOTOCHIKU&パクチー銀行」(ソトパク)を共同経営する佐谷喬さんは、パクチーハウスを経堂でオープンした2007年以来、89(パクチー)という数字に徹底的にこだわってこられた。

 

ついこの間、89キロを走るという離れ業を軽くやってのけたと思いきや、今日は犬吠埼から南房総のギャラリーで「千葉県は広くて世界は近い」という個展をされているアーティスト吉良康矢さんの元まで89マイル(143.2キロ)を2日で走破するという、これまた人間の限界に挑戦するようなイベントをあくまでも軽く実現させていらっしゃる。ご本人曰く、個展のタイトルを体を使って検証するためだ、と。

 

走り終えた後は涼しい顔をして「軽い筋肉痛」というのだから、超人的だ。

 

でも、「なぜそこまでして?」という疑問を持つ人もいるだろう。

 

ぼくは、佐谷さんは今の世界に足りないものを提示しようとされているのだと腑に落ちて、共鳴している。

 

何もかもが仕込まれていて、虚栄心を満足させるためにある様々なサービスの下に、心貧しく生活している現代の生活に足りないのは、自分の内側から湧き上がる幸福感だ。

 

ぼくは、東京育ちの息子・陽向を見ながら、切実にそれを感じている。「何をやっても、自分の内側から湧き上がるモノに触れることができない。」東京に、彼の眼を生き生きと輝かせるものを探し出すのは、ぼくらの子供時代ほど簡単ではない。

 

だが、解決できる方法はたくさんある。自分の内側から湧き上がる幸福感を生身の体の限界に挑むことで得ていく。佐谷さんがやっているのは、これだろう。

 

限界に挑戦する。できるか、できないか、わからないけれど挑戦する。できなければ、試行錯誤する。

 

ぼくも、家族を伴って、佐谷さんと一緒にこれをやっていこうと思う。