gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

雨の日の窓

f:id:yogosiurubi:20220215152135j:plain

 

通称パクチー銀行の正式名称「SOTOCHIKU&89 unLtd.」の看板を窓につけるのを完成させるために、パクチー銀行へ向かった。

 

外は雨。雨の影響は考えていなかったが、たどり着いてびっくり。結露で内側の窓がびしょ濡れで、看板文字の型紙がほとんど剥がれていた。

 

この看板は、佐谷さんがここで淹れたコーヒー豆のカスでできている。1週間前にガラスにのりでくっつけたコーヒー豆の塊のうち、大きなものは剥がれ落ち、小さいものだけが残った。

 

型紙がなければ、これ以上貼り付けることもできない。ここは潔く、型紙をきれいに剥いで、これで完成とするしかない。

 

目立つかどうか、といえば大きなものが残った方がよかったが、看板は必ずしも目立つためにあるのではない。濃い薄いが入り混じったニュアンスのある状態になって、結果的にはこちらの方がよかった気がする。そのように「した」のではなく、「なった」結果に満足している。

 

この看板は、雨が降る度にどんどん消えていくかもしれない。雨の日、室内から見るとトーンが抑えられた駅を背景として、はかなげにそこにある。SOTOCHIKUとは、そのような美しさを持ち、89の佐谷さんにその良さを認められて、この空間は存在することを伝えている。