2017年。ドニ・ヴィルヌーヴ監督。「メッセージ」の監督だ。
2049年。地球温暖化で水位が上がり、海岸部は水没し、内陸は砂漠化している世界。
幸せな人が住んでいるようには見えない世界。人為的なのか、自然現象なのか、未来はなぜ殺伐とした世界として描かれるのか。
人間とレプリカント。人間の代わりに労働させるためにつくられた人造人間、レプリカント。そのレプリカントが、子供を産んだ、という事実に動揺する人間。
境界線を引く、ということの非倫理性。このことにぼくら人類はずっと苦しめられている。それは、つまるところ、全てのシステムは結果として不幸をもたらす可能性がある、ということだ。
自然を対象化しない、混然一体とした縄文の世界がかつての日本にあったとしたら、ぼくらはそこへ帰っていったほうがよいのではないか。
システムを前提としない世界。起こったことに対する解決策として、その都度システムが立ち上げられる。その方がむしろ、健全なのではないか。
備えあれば憂いなし、ではなく、備えをしようとばかりするから憂いばかりになる。・・・という一面を見逃してはならない。
人間は、自然には決して勝てないのだから。