gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

時を生む住居 5

なぜこんなことになってしまうのか。


ぼくら人間がこの世界に体一つで生まれてきたとき、皆すでに永遠性を内包している。人間一人ひとりが、他の動物から見ればほとんど神のごとく圧倒的に優れた能力の持ち主であり、その意味では個人差などわずかな誤差に過ぎない。豊富な資源に満ちている美しい地球環境も含めて、本来ぼくらは何かを求める必要がないくらいに与えられて生まれてくる。そのような認識を前提とすれば、古代の生活のように、時間とは「永遠を基盤として、それが解かれるときに生まれ、やがて結ばれたときに消えるもの」として捉えることができるだろう。


だが現代社会は、体一つの人間を何も持たない数字のゼロと見なす。そのために永遠を常に渇望して生産に駆り立てられ、数字を増やそうとする。数字に上限はなく、いくら大きな数字を手に入れようと永遠に届くことはない。だから、人々はいつも不安を抱えている。もっと生産しなければ、と均質な時間の目盛りの上でひたすら機械のように働き続ける。


この定規の上から、降りるにはどうすればよいか?


そのために、ぼくらは空間づくりの中でなにができるだろうか。


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