gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

less is more

「はかなさ」 消えやすく長続きしないこと

 

「せつなさ」 胸が締め付けられるような悲しさや、つらさのこと

 

ぼくらは、何かを失うことや失う兆候・予感に対して、美しさを感じる。美を感受する心とは、「はかなさ」や「せつなさ」というぼくらの生まれながらに制約を受けた、右下がりの心象風景に対してまるで代償のように与えられるものではないか。

 

誕生、成長、上昇の「喜び」は、それ単体ではなく、上記のような逆の位相を持つ心象風景と対として捉えられたときに自然に湧き起こるものでありたい。

 

遠くを見つめるような微笑みをともなって。

 

そのときに、右上がりの心象風景も、初めて美しいものとして描かれる資格を持つ。

 

だから、あるプロジェクトのために空間をつくるとき、ぼくらがクライアントの構想に求めるのは、成功を描く背景にある「はかなさ」や「せつなさ」だ。

 

永遠でありたいと願って、それらと向き合いつつ、生きる。

 

less is more を、ぼくはこのような意味と捉える。