gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

時を生む住居 3

家の中で夜明けに目覚め、外へ出かけ、帰宅して、夜更けに眠る。

 

その一般の生活スタイルが、現代と古代とで著しく違うわけではないだろう。

 

だが、現代の生活が決められた時間の中での「生産性」を目標としているのに対し、古代の生活には別の価値観があったのではないか。

 

生産とは逆の「解体」によって時間が生まれ、バラバラに解(ほど)けたものが「結合」することで時間が消える。それが古代の時間であるならば、そこには固まって動かない永遠性が基盤をなしていることが分かる。

 

その永遠とは例えば、夜の闇であり、盤石な大地であり、同じく盤石な地位・役職であり、天賦の才能であり、安定した生活であり、計画通りに実現する未来もそうだと言えるかもしれない。さらには、不変の愛やその根底にある悲しみ。そのような基盤が崩れることで初めて時間が生まれるのだ。

 

現代は、古代人が前提とした永遠をまるでないものかのように目的として掲げ、人間にたゆまぬ生産を求め、何に対しても入念に計画し、計画実現のために一致団結を要求し続ける。そんな努力を強いられながら、ぼくらは時間のない虚無の世界へ向かっているのではないか。

 

・・・・・