ほとんど衝動と呼んでもいいような強い気持ちで知を得ようとした留学時代。
30歳前後でアメリカで建築を学んだぼくは、そのときにできることは全部やった、という自負がある。
そんな時間を過ごすことができた後で、日本での大学生時代を振り返ると、自分に合った学部をどうしてもっと真剣に探さなかったのだろう、と不思議に思う。
世間的に評価の高い大学に入ることに意味がなかったとは言わない。だが、そこで学ぶ内容に対してほとんど関心を持てなかったことは愚かとしか言えない。
大学に行きたいのであれば、高校までにやるべきことは、何を学びたいか、を徹底的に考えることだろう。
とはいえ、大学時代の価値は学問だけではない。休みの度に海外を一人旅したことや、夜毎バーに通ったことが、むしろ今の自分の血肉となっている。
無駄な時間を過ごしていたわけでは決してない。あの頃はまた別の衝動があったのだろう。