時を経たものの価値は両義的で、見る者の視点によって変化する
この性質を利用し、価値観の相反する間で物物交換を成立させて、
汚しうる美を収集し、それを空間づくりの素材として生かす
ここでは金銭を媒介させないことが重要である
なぜなら、その瞬間に、その素材は商品となってしまい、
商品となってしまえば、取替のきかない存在ではなくなってしまうからである
風化したものが一般的には見向きもされないことは健全な姿であり、
それを「さりげなく」空間に取り込み、
空間を体験する人々に対して、
潜在的にやさしい心を呼びおこすものとして作用するのが
その理想的な存在の仕方だろう