昨年から、新年はプールで始まることに決まっている。
まずは、3人で長いスライダーで遊んで、さて、「泳ごう」と。
高校の頃から、プールの初日は苦手だった。
原因はよくわからないが、50mも泳ぐと気分が悪くなってしまうのだ。
ああやっぱり、という感じで、フラフラしながら次の場所へ。
MOA美術館は、よくつくられた美術館で、一日いても愉しめる場所だ。
じっくり見たのは二つ。
秀吉の黄金の茶室の展示について、横にいらっしゃった警備の女性が、とても興味深く説明してくださった。
この黄金の茶室は、秀吉の成金趣味のように伝えられることが多いが、当時は、ろうそくで灯されたであろうから、金は鈍く光り、赤は黒く沈み、ちょうど黄金の仏像の空間のようであったはずで、この展示のように、きらきら派手な空間ではなかっただろう、と。
女性の想像力に感心しながら、侘び寂びの空間との関連を光に見出す。
もう一つは、2年前に「鍛金」人間国宝に認定された大角幸枝さんの「海風」。
海の風や波を表現するカタチを、先月はずっと探し続けた。
大角さんの答えが、とても眩しく感じて、心地よかった。
見ていると、波の音が聞こえてくる。やさしい風も吹いてくる。
美術館に、カタチを探し求める自分の背中を押してくれるものを探すことはすばらしい。
創造物を、新しい創造につなげる。
大角さんにはなんの対価も払ってはいないが、文化を推し進める力は無償の中で伝承されていく。
ぼくたちがつくる空間も、そのような力を持ちたい。