大学生の頃は、DCブランド全盛期と一致するから、アルバイトした金は結構な割合で服に費やされた。
PASHUというブランドが好きで、セールにならんだこともある。
知識は全くなくて、好きな音楽を聴くように、服を買っていたのだと思う。
悪くない時代だった。
金銭感覚は、今の時代から見ると壊れているようにも見えるけれど、服装に金をかけることになんのためらいもないほど、熱を感じていた。
お金を使って幸せを得るのであれば、それを浪費とは言わない。
だが、好きなミュージシャンが変遷して以前の熱を感じさせてくれなくなるのと同じで、ブランドも熱を失っていった。
何かが根付くためには、その背景に融けこむことが必要だ。例えば、そのコートを着て、コンビニ袋をもつ姿が美しくないなら、そのコートはいつか売れなくなる。
ぼくは今、そんな想像をしながら、服を買っている。