gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 嫌われ松子の一生 感想2

前回、あまりにも身も蓋もない感想を書いたので、逆に気になってこの映画のことを考えていた。

松子は、高校の教師、ソープ嬢、殺人犯として監獄暮らし、美容師、引きこもり、という順番で人生を辿り、不良少年たちに撲殺されて生涯を終える。外から見ると、ずいぶん振れ幅の大きな人生だが、彼女自身はどの状況にあるときも、自分の職業を誇りにも思わない代わりに卑下することもない。

つまり、すべてを内側からのみ見る人なのだ。自分にできる努力は淡々と続けるし、それを苦にしない。

他人に本当の興味はないが、誰かに愛されたいという切実な気持ちを常に抱いている。ずっと変わることなく、彼女は夢見る少女なのだ。

ぼくらは、内側からの視点が外側からの視点よりも割合が多い人を、「テンネン」と呼ぶだろう。さらに、内側からの視点のみを持つ人を、「純粋」というのだろう。松子は、「純粋」にあたる。

松子の、外側からは決して幸福とはいえない一生を、彼女はどのように内側から見ただろうか。

人生の優劣は、誰にもつけられない。


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