坂口安吾が、刑務所の外観について「美しさを目的としないものは美しい」と書いた文章がある。
ぼくもそのように感じられる空間を目指して、この仕事を続けている。
結局、美しさを目的としていて、矛盾のように聞こえるかもしれないが、上述の言葉をこう言いかえればすっきりする。
一般的な美しさを目的としないものは、普遍的に美しい。
ちなみに、普遍的に美しい、とは、その人が一対一の関係性の中で「美しい」と感じる、ということだ。
だが、一般性を剥ぎ取ることに躍起になる必要はない。
純粋性は失われるが、元々、純粋なものなどなく、存在するものは全て混沌としているからだ。
対象に何を見出すか?
一対一の視点を持つときのみ、普遍が現れる。