gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 ヒミズ

2012年。園子温監督。

震災被害者のおじさんたちが、貸しボート屋の男子中学生を「住田さん」と呼んで慕っている。それだけでもシュールだが、実際おじさんたちは住田さんの世話になっている。

「この世に・・・親切は少ない」

・・・とは映画「ラウンド・ミッドナイト」のデクスター・ゴードンのセリフだが、世の中に稀少で美しいものは、「利他の精神」、平たく言えば「親切」に尽きると思う。

この映画は、親切に満ちている。未来の世界に住む他者たちのために、おじさんたちは「住田さんに立派な大人になってほしい」と切に願う。ヤクザさえもそう願う。

震災のような災害は、人に親切を呼び起こす。それですべてを失った人の側が立ち直るのも、他人に対する親切を取り戻すことをいうのかもしれない。

「ぼくには自分のこと以外は全部分かる」という詩が語っているのは、他人を思え、ということだろう。

つまり、分かることに集中すればよいのだ。

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