15年前まで勤めていた建設会社の飲み会に呼んでいただいた。
この会社には留学費用など多額の投資をしていただいたにも関わらず、やむを得ない状況とはいえ、なにも貢献できないままに退職することになり、気まずい思いを抱えつつ、疎遠になってしまっていた。
久しぶりにお会いしたかつての上司たちは、あたたかく迎えてくださり、懐かしく当時を語ってくださった。
このアウトサイダーだった私の将来を真摯に考えていただいたことを、改めて知ることになった。留学についても、上司がそれまでの規則を覆すよう会社を説得してくださったことで決定したそうだ。
その留学によって、私は輪をかけてアウトサイダーとなって日本に帰ってきた。
結果として、それは当時の会社のためにはならなかった。ゼロか100の賭けは、ゼロと結果が出たのだ。
独立し、会社を立ち上げて15年経った。改めて、今グリッドフレームは、かつての上司たちの決断の延長線上にあることを思う。
「心配していたが、あのときそうしてよかった。」
かつての上司は目を細めてこう言ってくださった。