モダニズム建築のキーワードはintegrityと教えられた。意味は、｢完全無欠｣｢整合性｣｢清廉｣などである。全ての要素に意味があるようにつくられた建築である。だから、無意味な装飾は排除されなければならない。
そのように隙のない存在の仕方を美しいと捉える心は誰にでもあるだろう。そして、そのような存在に人間味を感じない、と否定する心も誰もが持っているだろう。
人間がつくるものなのだから、どのような創作物にも人間の心が反映されている。人間は一日中まじめではいられないが、モダニズム建築とは人間のまじめな部分がつくり出す建築である。
先日、久しぶりに純粋なモダニズム建築を見ることができた。自分で自分の仕事場を設計されたものである。自分が死ぬ頃には自分とともに消えてしまうように、素材の寿命を考えて選んだ、と説明してくださった。
自分とともに年をとる。これもひとつのintegrityのかたちだろう。
その建物は、コンクリート打ち放しの空間であるがゆえにモダニズム建築に見えるが、問題はスタイルにあるのではない。integrityとは、人間のまじめな心が求める存在の美しさである。
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