gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2011.11

熊本空港のクモ

空港に降り立ち、出口に向かう廊下の窓に黒い点がいくつも見える。近づいてみると、たくさんのクモの巣。「クモの巣の向こうに雲」などとつぶやく。見つけたのは昨年のこの時期だ。ぼんやりとクモを眺めたのを思い出す。明日は父の一周忌。これからも毎年の…

Bar ROYS 目黒

Bar ROYSの3号店が完成した。金・黒・赤の組合せを選ばれたオーナーは、なんとこの組合せを増上寺で見つけて、日本で古来から用いられた組合せとして確信を持たれた、ということだった。(写真では分かりにくいが、カーペットは赤、壁は黒、それに金色の真鍮…

きっと足りない

http://www.youtube.com/watch?v=36Xxx1Gzs5k&feature=related矢野絢子の夕闇という曲に「抱きしめても 抱きしめても きっと足りない」という歌詞がある。たたきつけるように歌う、とwikipediaに書かれる彼女の歌い方も手伝って、心に響く。後悔を先取りする…

場違い

「汚しうる美」のコンセプトをアメリカから日本に持ち帰って、それについて以前の仕事場で人に語るとき、ひどく場違いな感じに悩まされた。私は完全に「変な人」だったし、そうなる以外に語ることなどできなかった。「場違い」は、自分の主張と周囲が求めてい…

秋の陽

新宿御苑。桜の木の下で。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

モダニズム建築

モダニズム建築のキーワードはintegrityと教えられた。意味は、「完全無欠」「整合性」「清廉」などである。全ての要素に意味があるようにつくられた建築である。だから、無意味な装飾は排除されなければならない。そのように隙のない存在の仕方を美しいと捉える心…

映画 海を飛ぶ夢

28年前、海で事故に遭い、その後ずっと顔だけしか動かない生活。ずっと、あたたかい愛情で包み込む家族。しかし、彼は死を渇望し、尊厳死を求めて法廷で争う。同じ状況にあって、必死に生きようとする人たちもいる。「なぜ、自分だけ人生に満足できないん…

構造と固有名

久しぶりに訪ねてきてくれた友人と話し込んだ。彼は、大学に入るまで受験のためにたくさんのことを暗記したが、大学に入った後は一切記憶をしなくてよい、と思いこみ、その開放感に浸った学生生活を送った、という。もっといろんなことを記憶しておけばよか…

モロッコの壁

モロッコの海辺の町タンジェ。スペインからジブラルタル海峡を船で渡るとこの町に着く。その町にある旧市街の壁の写真である。このような「汚しうる美」を求めて、旅をしていた頃。世界は発見に満ちていて、どこへ行くのも楽しみだった。今は、その楽しさを…

テレビから遠ざかって

わが家からテレビが姿を消して久しい。テレビを観ていた時間は、子供と遊ぶ時間とネットを観る時間に変わった。ネットニュースを観た方がよい、とスタッフ010から勧められているが、書評やWikipediaなどにほとんどの時間を使ってしまうため、時事に疎くな…

本 世界共和国へ 4

「国家は政府とは別のものであり、国民の意志から独立した意志をもっていると考えるべきです。」(p.113)国民が国家に反対する意志を持ったとしても、国家は国家自身の意志で動く。それは、国家は内部に対する以上に、外部(他の国家)に対して存在するものだ…

ニーナ/矢野絢子

http://www.youtube.com/watch?v=R6dzv2qrfPM&feature=related椅子の一生を歌にしたものだ。美しい椅子で、家具職人が死んだ奥さんの名前を見えないところに彫り込んだ。持ち主が3度変わり、ガタが来てもう役目を終わろうとしている頃に、椅子の下にもぐり…

Belle Femme

代官山ラフェンテに、ハーブティー&エステサロンBelleFemmeが完成した。5mもある天井の高さを活かした背の高いアーチ群から垂れ下がる植物を中心に、スレンダーな鉄のラインとさまざまな植物を組合わせることによって、軽やかなリズムの幾何学に有機的なラ…

クーポン

使われないお金は必要ない。だから、貯め込むためのお金はなくしてしまった方が世の中のためによいと思う。いっそ、お金がクーポンみたいに使用期限付きに変わったら、世の中は活性化するのではないだろうか。いろんな問題が生じることは容易に想像できるが…

本 世界共和国へ 3

柄谷行人は、資本主義の終わりが近づいている、という。そのときに、どのような社会がやってくるのか?私たちには想像ができていない。私は「世界共和国へ」を真剣に読んだ。グリッドフレームはどこへ向かうべきかを考えるためのヒントがあるだろう、と予想…

本 世界共和国へ 2

私が柄谷行人を自分の中で特別な位置においたのは、「探究Ⅱ」を読んだときだった。彼は、ある人を見るときに、「特殊性−一般性」の回路に対して、「単独性−普遍性」という回路があると考えた。前者は、「日本人」「背が高い」「頭がよい」など言葉で説明でき…

本 世界共和国へ 1

書かれたものについて、自分の言葉で書くことは、生半可なことではない。特に、自分よりも圧倒的に考えている人の書いたものに対して、何を語ることができようか。柄谷行人を尊敬する人は多いだろう。そして、この人よりも自分の方が考えている、もしくは、…

水族館

葛西水族館のマグロは、金属でできているように見える。まるで、精巧なロボットだ。さかなを初めて見る陽向の眼には、これがスタンダードになるのだろうか・・・。最初に見せるのは、典型的なものの方がよかったのかなあ、などという疑問が脳裏をよぎるが、たぶ…

小中学生のころに、一緒に柔道を練習していた先輩二人と33年ぶりに顔を合わせた。いずれも全国区で知られた柔道家である。二人ともとにかく強かった。私たちが通っていた道場の柔道がいかに本物だったか、という話になった。あの頃、なぜあそこまで勝ちた…

自由都市

中央集権的な帝国の周辺に、集権性が弱いからこそ表れる自由都市。「自由都市」という言葉はさわやかに響く。以前、アーティストの毛利亜紀さんが地図の端っこに住みたい、と言っていた、と書いた。きっと直感的に、端っこにいることの自由さを知っているの…

いつも遊ぶ

ドトールで朝食をとりながら、ぼんやりと外を眺めていると、・・・思わずニンマリとした。この手のニンマリを説明するのは困難であることが多い。上の写真を見てもだれも分からないだろう。そこで、写真の一部を拡大してコントラストを高めると、・・・こんな感じ…

白と赤

白と赤は、国旗にも表れるように、日本的な色の組合せである。赤は、「赤ちゃん」などに使用されるように、やはり生の象徴だろう。白はモノクロで、死や無を象徴することを考えると、紅白で人間の一生を表すのかもしれない。私たちの生活の中では、お祝いの…

白と黒 2

白は繊細だ。白のままであろうとすれば、他者を遠ざけねばならない。ある意味、弱い。黒は他者を呑み込んでしまう。色の存在として、最も強いのではないか。かつて白人が黒人を奴隷化したのも、白の黒に対する怖れが潜在的に作用しているのではないか、と思…

白と黒

建築を学んだ人は、モノトーンを好む人が多い。理詰めで設計していくにあたって、色の理由づけが困難だからであろう。映画「ユリイカ」では、失語症になった少女が言葉を取り戻したラストシーンで、それまでモノクロだった画面がカラーに変わる。色は生の象…

リーダーシップ

JMMで冷泉氏がアメリカの野球界におけるリーダーシップについて、次のように書いている。「先輩後輩のカルチャーもありませんから、リーダーシップとは『上が下から敬意を受け取る』ものではなく、『上から下へサポートを与える』という方向の違うコミュ…

映画 レバノン

1982年のイスラエル軍によるレバノン侵攻が舞台。イスラエル軍の戦車の中から描かれる戦争。戦車の中の4人は全員が若く、戦争に慣れていない。士気も高いとは言えない、中途半端な兵隊たちだ。規律正しい日本の軍隊のイメージとは程遠く、これで死なない方が…

子供のエネルギー

陽向が通う保育園の子供たちの写真を見ながらつくづく思うのは、子供の魅力は写真では伝わらない、ということだ。大人には生きる世界に目に見えない境界がたくさんあるが、小さな子供にはそれが存在しない。自由に境界を越えてくる。視線もその一つだ。興味…

攻撃は最大の防御

柔道をやっていた頃、明治生まれの大先生に「攻撃は最大の防御」とよく言われた。「攻めていれば、負けることはない」という感覚は身に沁みていたが、中途半端に攻めると逆に危ない。本当に攻めなければ有効ではないのだ。そして、本当に攻めるということは、…

必ず楽観論

私は将来について聞かれるときに、悲観的なことを言わない。必ず楽観論者である。例えば、景気は悪くなったとしても、何か必ず他のことがよくなる、と考える。それは他人から見れば些細なことかもしれないが、私にとってはそうではない。そして、それを楽し…

シルエット2

私が建築を学んだバッファローには、運河沿いにたくさんのgrain elevator (穀物倉庫)があった。私はこの建物群がとても好きだった。なぜこれらが美しいか?シルエットというテーマで空間を考えるとその理由がよく分かった。日本の都会にいるとなかなか出くわ…