アメリカで建築を学んでいるときに、「コミュニケーション」と呼ばれる授業があった。
話すこと、聞くこととは関係ない。絵や写真などのビジュアルによって、いかにデザインを伝えるか、という内容だった。
内容とともに、それを伝える方法が大事だ。確かに、そうだ。
伝える方法によって、内容自体に変化が生じることもある。
いや、空間に、内容はいらない、むしろ伝える方法そのものだ、という人すらいる。
まあ、それも間違ってはいないだろう。
だが、そのような考えが蔓延した結果、深い考察は空間づくりに必要がなくなってしまったのだろうか。
もちろん、そんなはずはない。
イージーな提案が蔓延している世界で、本質はどこへ行ったのか、を見極める視点を常にクライアントに喚起する姿勢を崩してはならない。