映画監督の書いた本を読んで、全人格を賭けて映画づくりに取り組んでいるのだ、ということが当たり前の前提としてあることに、なにか安堵のようなものを感じた。
そして、ぼくが空間づくりに、同じような情熱で取り組んでいるだろうか、と考えた。
答えは、イエスであり、ノーでもある。
なぜなら、ぼくがプロジェクトに捧げる情熱は、クライアントから感じられる情熱に比例しているだろう、と思うからだ。
幸運なことに、ぼくらのクライアントは情熱の量が半端ではない人が多い。
だから、その数と同じだけ、ぼくも全人格を賭けて空間づくりに取り組むことができた。
けれど、単にビジネスの駒として、ぼくらに声をかけられる方もいらっしゃる。
そんなときは、正直言って、力が出ない。