gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

自分に命令しないこと

人が成長して、ある程度空気が読めるようになると、自分の行動を律するようになる。

今、自分はこうすべきだ、と考えて、そのように行動するようになる。人は、行動の結果を見て評価されるから、結果=人格とみなされることになるが、実際のところは、彼はそうしたくてそうしたのではなく、そうすべきだと思ったからそうした、ということの方が多いのだと思う。

例えば、自分の子供に対し虐待してしまう親たちのニュースが後を絶たないが、彼らは子供には優しく接するべきであることを知っているだろう。だが、実際において優しく接する気持ちが湧いてこないならば、優しく接することを自分に命令しなければならない。それを果てしなく続けるのは無理がある。

その無理が不幸を引き起こすのではないか。

いかなる他人とのつきあいでも、自分に命令することなく、お互いに優しい気持ちになれたとしたら、それこそを幸せと呼ぶだろう。

カントは「自由であれ」と自分に命令し、それに従うことが「自由である」ことだと言ったらしい。

自分に命令するとすれば、このことだけで十分である。