西川美和監督作品。
とても疑わしいけれど、この人の言うことは、嘘なのか、本当なのか?
10年前に家出をし、詐欺師生活を続けてきた兄と、真面目に小学校の先生をしている妹。10年ぶりの再会は、兄が香典泥棒のために忍び込んだ葬儀場で、実の祖父の葬儀が行われていたことによる。
その葬儀場に、金貸しが現れ、父が家族に知らせないまま、会社をクビになり、借金生活を続けていたことが発覚する。
家族の生活は突然にして、窮地に陥る。もはや、真面目に働いて、コツコツと返せる額ではない。
そのような状況に直面すると、真面目一辺倒の妹は子供扱いされ、むしろ詐欺師生活を続けてきた兄が頼りにされる。
この世の中には、そんなところがある。
だが、兄のすべてが嘘なのか?どこかに本当があるのか?一瞬のラストシーンに答えが示される。この監督のラストシーンは、いつも見事である。
クリエイティヴであることにこだわる人間は、この限りなく疑わしいものが本物である可能性にこだわることこそが生命線になるだろう。
この監督の視点に共感するところはとても多い。