gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

本当の戦争の話をしよう 2

「戦争において君は明確に物事を捉えるという感覚を、失っていく。そしてそれにつれて何が真実かという感覚そのものが失われていく。だからこう言ってしまっていいと思う。本当の戦争の話の中には絶対的真実というものはまず存在しないのだと。」

戦争に行った者にしか知り得ない、この感覚について、私たちは想像力を働かせて理解しようと努めた方がよい、と思う。

例えば、「戦争」という言葉を「泥酔状態」に置き換えても文章は成立する。戦争とは泥酔状態でケンカしているような状態なのだろうか。

おそらく違うだろう。冷静さを保ちつつも、感覚は失われていくのだ。

戦争は絶対的に悪であり、間違いだと教えられてきた私たちの世代だが、そこには全体概念が成立しているのではないか。「全体概念は、必ず反対概念を含みこむ」と森敦は言っている。醜いがゆえに美しく、誤りであるがゆえに正しく、憎しみに溢れるがゆえに、愛に溢れているのだろう。死に近接するほど、生が際立つように。

にもかかわらず、戦争は回避しなければならない。なにも全体概念を成立させるために、戦争をする必要などあるはずがない。

反対概念を含みこむ世界を、今、ここに成立させる方法を、今後も探っていこう。