gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 花よりもなほ

これも是枝監督の作品。他の作品とは違って、エンターテイメント性の強い時代劇。

平和な時代に、武士はどのように生きればよいのか?江戸の元禄時代が背景だが、現在の男はどう生きればよいのか、という問いに置き換えて観ることもできる。

長屋の住人の日常を描いて、「仇討ちなんて、不幸な人が増えるだけだよ」と映画は語る。仇討ちに生きる赤穂浪士たちが滑稽な人間たちとして登場する。

「桜は、来年も咲くのを知ってるから、潔く散る」

このように男の美学は、鼻で笑われる。現実の死は、男が頭で描くように美しいものではなく、グロテスクで醜いものだ、と。

是枝監督は、このような醜い現実と、なにげない日常との境界線を描き、どう生きるかを私たちに問いかけてくる。