「片方に開く、ということが「生きる」ことだと思うんです。空が閉ざされていたら生きることはつまらないし、未来が分かるなら生きる必要がないですから。」
私たちの生きる地上は等しく空へ向かって開いている。そして、私たちの生きる時間は等しく未来へ向かって開いている。つまり、どちらも片方に開いている。
だから、生きる空間として空間的にも時間的にも、そして、心的にも「片方に開く空間」をつくることを目的とする人たちがいます。
グリッドフレームは、店舗やオフィスなどの内装を中心に、企画・設計から什器などの制作・施工までを一貫して手がける会社です。
自社のアトリエ工場を持ち、そこで制作した内装材や家具を現場でアセンブルし、手づくりの空間を提供しています。
今回募集するのは、設計スタッフ。お客さんの思い描くイメージと機能を、自分のアイデアを織り交ぜながら空間に落とし込んでいく仕事です。
グリッドフレームの設計オフィスは表参道にありますが、4度目の募集になる今回は墨田区にあるアトリエ工場に伺いました。
錦糸町駅から歩いて10分ほど。小さな工場が点在している地区に入ると、どこからか金属を加工する音が聞こえてくる。
地図を頼りに歩いていると、細い通りの一角に建つ、グリッドフレームの墨田工場が見えてきた。
入り口の横には、何段も積まれた加工前の鉄材。奥のスペースは、あたり一面に木や鉄などの素材や工具が並んでいる。広い1階全体が作業場として使われているみたいだ。
フロアの奥にある螺旋階段を登り、2階へ。
廃材やそれらで実験的につくられたモノたちが並ぶオフィスで、代表の田中稔郎(としろう)さんは丁寧に話しはじめる。
「この自社工場はうちの特徴の一つです。美大や建築学科を出た制作スタッフたちが素材から加工した部材や什器を現地の空間で組立てして納めます。現場監督や設計担当も含めて、スタッフは全員で10人くらいです。」
「「片方に開く空間」をつくりたいと思ったのは、学生時代の旅の経験に始まっていると思います。」
(つづく)