戸籍上の生存者が全国で続出している。本日のところの最高齢は186歳だそうだ。
戸籍上で生き続けることになった理由はさまざまだろうが、どうでもよいことのようにほったらかしにされていたとしたら、なんとも寂しい。死んだということを、誰もが知らないということは、これ以上ないくらいに孤独なことである。
親に置き去りにされた兄弟たちのひとりが亡くなった映画のタイトルが「誰も知らない」だったことを思い出す。あれは、幼い子供の死を描いていたが、例えば、今回の186歳が、実際は子供の頃に亡くなっていたことだってありうるだろう。
戸籍上の老人は、老人になるまで生きたとは限らない。
今回明らかになった戸籍上の老人の数は、少なくとも葬式を挙げてもらえなかった人の数であるとも言えるのではないか。せめて明らかになったこの機会に、静かに手を合わせる気持ちで、その人ひとりひとりのことを想いたい。