gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

アールヌーボー

フランス語で「新しい芸術」という意味で、19世紀末から20世紀初頭にかけて流行した芸術運動。写真のように、植物をモチーフとしたようなデザインが特徴的だ。

建築では、鉄の物性を活かした自由なかたちが表現された時代だ。

この後、時代は工業化、量産化に向けて動き出し、モダニズムに到達することになる。

私は、写真のヴィクトール・オルタや地下鉄入口をつくったエクトール・ギマールの作品を、今の目で見てもとても美しいものだと思う。

大量生産品には成り難い形状、そして、調べたわけではないが、相当の制作期間とコストがかかっているのだろう。

モダニズムになると、大量生産しやすい直線を多用した形状、短い制作期間と少ないコストでものがつくられるようになり、今まで恩恵に蒙れなかった多くの人たちにデザインが行き渡っていくことになる。

現在、私たちがものをつくる場は、短い制作期間と少ないコストが当たり前になり、その中で、どれだけ人と違うデザインを手に入れることができるか、というところにいる。

アールヌーボーの時代につくられたような手のかかったものを求める人もほとんどいない時代である。

量産ではない、手づくりで良いものをつくろうとする人間たちが、どのようにこの時代に対応していくか、私たちが考えていかねばならない課題である。

100年も前の芸術運動を「新しい芸術」と呼んでいる場合ではない。