赤峰3日目の午後、公安官が3人で部屋へやってきた。みんな初顔だった。中堅クラスという感じだった。
1対3で机を間にして向かい合って座った。調書をとる、という感じで書類を手に持っている。例によって、筆談で会話を交わす。
3人は、昨日の若い公安官の話と同じ主張を繰り返す。「汝が規則を破ったのだから、自転車は没収」
私「あの自転車は我が友人の宝なり。今まで規則を知らず。これからは規則を守ることを誓う。よって、我に自転車を返されよ。」
3人「いやそんなわけにはいかぬ。」
私「おお、これで我が中国に対する好印象は全て崩壊した。」
筆談でのやり取りは「間」がおもしろい。
私が目を怒らせて文を書くと、いちばん右の人に紙を渡す。
その人は、紙に目を走らせて、「お〜」と言いながら、顔をのけぞらせる。そして、真ん中の人に紙を渡す。
真ん中の人も同じように、「お〜」と言いながら、顔をのけぞらせる。そして、いちばん左の人に紙を渡す。
いちばん左の人もまた、「お〜」と言いながら、顔をのけぞらせる。そして・・・
顔を正面に戻したと思うと、突然目を怒らせて、「規則を破った汝の罪なり」みたいなことを書いて、私へ紙が戻ってくる。
まるで、コントのようであった。
・・・そんなことに気をとられている場合ではない。私の自転車は、昨日よりもさらに遠くへ行ってしまったようだ。
結局、「返してくれるまで、我は動かず」で、筆談は終了。
(つづく)