gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

偶然と必然

「いちばん怖かった体験は?」

自分が海外を旅していた時期があることを知って、その人はこんな質問をしてくる。

タンザニアで警官に銃で殴りかかられたり、モンゴルの草原を自転車で旅して野犬に追いかけられたり、中国の公安に拘束されたり、ボルネオ島バッファローに角を向けられたり、エクアドルで黒い影に後をつけられらり、・・・いろいろ思い出されることはあるけれど、思い出した後に思うのは、その度に結局は無傷で過ごしてきたことの幸運だ。

海外をひとりで旅するということは、自分の周りに起こることの振れ幅を大きくしてくれる。映画で観た冒険を自分のことにしてくれるのだ。

だが、冒険劇の世界が自分に起こるのであれば、その度に自分を救ってくれる幸運が作用しなければ、五体満足で人生を全うできないだろう。

偶然にも運が良かったのか、必然として見えない誰かによって救われたのか・・・世界はその答えを決して明確に示さない。つまり、どのように解釈しようが、それは私の自由である。

イラク戦争のときに、日本人の若者がゲリラに拘束されたことがあった。そのときの若者は、あのときの私だったろう。彼は結局、殺された。見せしめとして斬首された映像がインターネットを通して世界を駆け巡った。そして、日本では、無謀な行動として大勢に批難された。

天に任せるしかないことの結果を、偶然とするか、必然とするか・・・。残ったのは自由であり、自由であらねばならないという想いを強くしている。

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