AIの発達により、左脳的な仕事を機械に任せて世界人口の衣食住を支えることができる時代が来たら、人間は金を稼ぐ手段としての労働から解放されるかもしれない。
もう「とりかえのきく存在」として脳を使う必要はない。それぞれの人は「とりかえのきかない存在」として生きようと脳を使い始めるだろう。
現在、生活の中で目を向けられることのない<混沌=外部>。混沌が過剰に目前に広がると、人は恐怖を感じて直視することすらできない。
我々は、この向き合い方に変化が生じるのではないかと考えている。
AIが外部に対する防御の役割を担えたら、外部と直接的に一対一で向き合えるようになるだろう。
そのとき、記憶はより鮮明に人の脳に残り、その人独自の感性や知性を進める。
人間が外部に出会ったときの対応として、互いの関係性を深める4段階がある。
- 見ない
- 風景として見る
- フレーミングして、切り取った写真のように、観察する
- 直接的に、一対一で観察する
これからの時代は、1から4への変化が促されるだろう。今回の作品では、この4段階の空間化を試みたい。
さまざまな混沌に対する記憶の密度が高まり、伝承されていく。そんな未来像に、我々は希望を抱いている。