漫画を描くことと、それをドラマ化することは、全く性質が違う。
だから、それぞれの作品に同じものを求めること自体、ナンセンスだ。
それぞれが独立した作品だ、と考えるべきだ。
漫画家はその作品性を手放すことなく、ドラマ化を許してはならない。
テレビ局は安易に漫画の作品性を引き継ぐという約束をしてはならない。
漫画という作品が元になって、ドラマという全く新しい作品が生まれるのだ。
そこに同じタイトルが使用されるならば、お互いの信頼関係が前提とならねばならない。
信頼関係とは、一般性に属するものではない。お互いにとりかえの効かない人間同士で一対一で向き合う関係、つまり単独性に属するものだ。
グリッドフレームがつくる空間は、クライアントの中にあるイメージを再現することを目的としていない。
クライアントの思いを文章に変えて、そこから空間を構築していく。
構築するのは、完全にぼくらの創造に任されている。
それを可能にするのは、上記の一対一に向き合うことによる信頼関係だ。
ぼくらが空間をつくるように、テレビ局はドラマ化を進めるべきだった、と思う。
この構造を世の中に確固として成立させ、ぼくらのような会社の存在が可能なんだということを広く伝えていきたい。