gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

アフリカの瞳

ぼくは1985年の夏、20歳の時に初めて海外を一人旅しました

 

東アフリカのケニアタンザニアをバス、列車、ヒッチハイクで移動し、そこに山があったからキリマンジャロにも登りました


ケニア中央部で長距離バスに乗ると、席はすぐに埋まります

 

二人がけの椅子の窓側に座っていると、なんと5人連れの親子が全員この椅子に座ってきました

 

お母さんがぼくのとなりに座り、ググッと詰めさせられ、お父さんが空いた少しのスペースに座り、子供3人は大きい順に、お父さんのひざの上、お母さんのひざの上、そして、最後は赤ん坊が当然のようにぼくのひざの上に置かれる

 

赤ん坊をひざの上に乗せて、ぼんやりと窓の外を眺めていると、やわらかいものがぼくの頬を触りました

 

見ると、黒人の赤ん坊が一心に手を伸ばして、ぼくの顔を撫で回している

 

きっと黒人以外の顔を間近で見るのは初めてなのでしょう

 

その後、ずっとぼくの顔を触り続けていました

 

好奇心旺盛な、黒々とした目がきらきらと光っていたのを今も思い出します

 

 

 

その瞳は、初めて出会った何かを見る目であり、ぼくの中で「守られないけれど自由な世界」での象徴的な眼差しとして深く記憶されて、ぼくの人生の道標となってくれています

 

それから30年以上が過ぎた今でも、毎日のように見たことのないものに出会います

 

そのときに、あの赤ん坊のような瞳でそれを見ているだろうか、と想像して嬉しくなったりします

 

その瞳を多くの大人が共有できるような社会をつくるために、「創造性の連鎖」とSOTOCHIKUの手法で空間をつくっていきたいと思います