人間でないものを人間のように書き表すことを擬人化という。
つまりは、人間でないものになったような気持ちになって、世界を見るということだ。
小学校6年のときだったか、擬人法で作文を書いて来い、という宿題があって、ぼくは通学路の田んぼ道でいじめたことがある蛇について書いた。
「なんでぼくがこんな目に合わなければならないのか?」と書いた。
なぜか、それをよく覚えている。
そして、今気づいたのだが、それを書いてからは、一切動物をいじめなくなった。
動物の身になって考えることはできるが、動物の身になることなど到底できない。どんなに観察しても、自分以外のものにはなれないのは、相手が人間でもそうだ。
所詮、他者になることはできない。
だが、少なくとも、他者に対してやさしくなれる。
それだけでも、擬人化の効果は絶大だ。