gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

デザインへの対価

30坪の飲食店の平面図、イメージ図、プレゼンをお願いしましたがお断りするつもりです。お礼の料金はいくら払えば良いですか?・・・という質問に答えて

 

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このような質問をされるクライアントは、社会全体について考えていらっしゃる方だと尊敬します。

 

そして、業界の慣習として、この質問に対して「無料の範囲内」と答える会社が多いかと思いますが、この業界のプライドの欠如を象徴していると思われます。

 

ぼくは、デザインこそ空間をつくる会社の本質であり、個々の店舗のみならず未来の社会をつくっていく重要な要素だと感じ、この仕事を選んで会社を興しました。

 

その最も本質的な部分に注ぎ込んだエネルギーへの対価について「無料でよいです」という人たちがいることにより、日本の風景が貧しくなってきた事実を、海外の躍進を見る毎に痛感させられます。

 

それは悪循環を起こして、真剣に取り組むデザイナーたちのエネルギーをも萎えさせていっています。

 

「無料でよいです」を美徳と考える人たちの群れが引き起こしている問題は、この国の至る所で貧しさを引き起こす原因となっています。

 

例えば、先日聞いた話ではこんな例があります。

 

大企業を引退した悠々自適な方々が集まって竹細工をつくるサークルをつくり作品をつくる。手が器用な方々はそのうちにクオリティの高いモノをつくれるようになる人も多い。それらを善意によって二束三文で売るようになる。

 

しかし、そのことが原因で、本気で竹細工で食べていこうとしている人たちの商品が売れなくなり、食べることに困る人が生まれる。

 

誰にも悪意はないけれど、確実にそれが貧困を生むことにつながっていることが今の世の中には多いことがわかります。

 

全体の生活を底上げしていくためには、個々の人間の本質的な力を行使されたモノに正当な報酬が支払われる社会をつくる必要があります。

 

デザインにプライドがある会社ならば、デザインにかかる前に、対価の約束をしっかりと結ぶ必要があると思われます。

 

それは、会社を救うのみならず、この社会を救うことにつながっていくはずです。