木の中にある枝や幹を掘り出し、かつての姿を露出するアーティストがいる。千田泰弘さんにSOTOCHIKUの話をしたら、紹介してくださったアーティストだ。
ぼくは、このアーティストの創造行為の中に、神聖なものと同時に暴力的なものを感じて、どちらかといえば、ざわざわとするような不快の念を抱いて、夜中目覚めてしまい、ネットで作品を探そうとしたが、名前が浮かばない。
「木の中に木を掘り出す アーティスト ヨーロッパ」などと検索してみたが、一向に見つからない。出てくるのは、生えている木の一部を彫って、人の顔をつくったものとか、意図的な造作ばかりだ。
それらを見ていると、ジュゼッペ・ペノーネよりも著しい暴力性を感じて、ぼくの不快感は一気に増幅し、気分が悪くなるところまで進んでしまった。
そういう作品イメージはたびたび目にしているし、これまで一度も心が動かなかったにも関らず。
ジュゼッペ・ペノーネは、彼の作品以上に、他の木彫りの作品のネガティブさをぼくに開示したことになる。
それは、健全な?アートの力と呼んでもいいのかもしれない。