2010年。アメリカ、フランス。ヴェルナー・ヘルツォーク監督。
1994年に発見されたショーヴェ洞窟の3万2千年前の壁画。
この壁画を見て、何を感じるか?それは、ぼくらに突き付けられた重い問いだと思う。
3万2千年前に描かれた壁画を見ていると、今悩んでいることがちっぽけなことに感じる、とぼくの妻はつぶやく。
ある動物の絵の線の上に描き足した線の間には、5千年の隔たりがあるそうだ。5千年という時の間に、まるで何も変化がなかったように、線が描き足されることの美しさを思う。今流れる時間とは、なんと違うことだろう。
ぼくらが生きていくことと、この壁画を描いた人が生きていくことを、重ね合わせてみる努力をすることは、決して意味のないことではない。