2001年。森 達也監督。
ぼくは、1996年に4年間のアメリカ留学から日本へ帰ってきた。
オウムの地下鉄サリン事件は、1995年3月。ぼくは、アメリカでその不気味な事件のことを聞いたが、どのような印象を持ったかもほとんど覚えていない。
その2か月前には、阪神大震災。
この二つの大事件が、日本にどのような影響を及ぼしたのか、ぼくは深く考えることなく、対岸の火事のように捉えてしまっていたことに、改めて気づく。
たぶん、ぼくがグリッドフレームでなそうとしていることにとっては、そのことは大きなロスだったのだ。
DVDに付属している冊子にあるように、「共同体内部に於ける異物への寛容性は激減し、その空白を埋めるかのように他者への攻撃性は増大した」のであれば、まさに異物・他者を空間に持ち込むことを空間制作の軸とするのが受容されないのは、当然のことではないか。
しかし、ぼくらは生きている。そして、オウムの広報部荒木浩も、映画監督の森達也も・・・。
今後、彼らはどのように生きようとしているのか。それを知りたい。