陽向を小学校へ送る途中、白い蛇がぼくらの前を横切った。途中にある神社の敷地内だった。
1.5mはあったように思う。ゆったりとした動きで、ぼくらの前を過ぎ、鎌首をもたげて、地面から鉄柵に体を移動し、鉄柵から連続している木を少し上ったところで止まった。
蛇とはこんなに美しい姿をしていたろうか。鱗のひとつひとつがキラキラと銀に輝いていた。
陽向にとっては、初めて見る蛇だったろう。ぼくも何十年ぶりだ。
人に話すと、いろんな人が「それは神様だ」と言う。神社の人も、これまで蛇は見たことがないそうだ。
「幻覚じゃなかったの?」と妻にも言われるが、もちろんそんなことはない。
目をつぶって、その美しさを再現することができるだけで幸せだ。