まだ、いろんな職業が家庭の単位で成り立っていた頃
肉屋さん、八百屋さん、布団屋さん・・・
小さなお店がいたるところにあった
そして、
肉屋さんの子供は肉屋さんに、
八百屋さんの子供は八百屋さんに、
布団屋さんの子供は布団屋さんに、・・・
ふつうに、そう信じられていた
けれど、
たくさんあった小さなお店は、瞬く間に
大きなシステムの中に取り込まれて消えていった
肉屋さんの子供は会社員になり、
八百屋さんの子供は学校の先生になり、
布団屋さんの子供は役人になり、・・・
世界へ飛び出したのだから、
夢や希望がないわけじゃない
が、その「世界」はいつも自由に旅をさせてくれるわけではない
きっと、もう職業は家庭の単位では成り立たない時代なんだろう
2年でやめるつもりで、二人で花屋さんを始めた
そして、来る仕事に必死で対応しているうちに、
いつのまにか10年の時が流れた
喜ぶ顔を見て喜ぶ、シンプルな毎日の中で
心は自由に旅をしている
未来には、再び職業が家庭の単位で成り立っていくときが
新しいかたちで訪れる
このお店には、そんな希望が見える