人間がつくるもの以外は神がつくったとする思想が、その表層における信心深さとは裏腹に、(例えば、アテネにおいては)奴隷制度を生み出し、手仕事を軽視し、技術の進まない社会をつくる結果となった、という。アテネの民主主義は、奴隷制度の上で成立している。
現在の民主主義国家が、国家間の経済格差の上に成立しているのと同じ関係だ。
物質を神が動かすのではなく、物質はそれ自体、運動する(原子論など)と考えるイオニアの自然哲学は、奴隷制度をつくらず、手仕事を重視し、技術を進める社会をつくった、という。
神は常日頃からそこにはいない、と考えた方がよさそうだ。