GECKO(ヤモリ)は垂直面にぺったりとくっついている。
水平面にしか暮らせないぼくからすると、その点は憧れてしまう部分だ。
どこまでも壁を上っていけるなんて、すてきだ。
羽があるものだけが、垂直移動できるわけではないのだ。
しかし、ぼくの記憶の中にあるヤモリは動かない。
どこまでも上れるけれど、それは可能性としてあるだけで、必死に壁を上っていくヤモリは、ちょっと違う。
そういえば、ナマケモノとか、コアラとか、ほとんど動かない動物に対しても、どこか憧れがある。
「寝るために生まれてきたわけではないでしょ?」と余計な質問をしたくなる。
なにか考えてるに違いない。
そんなマスターのいるバーがあったら、何度も通って、いつか考えを聴きだしてやろう、と思う。
そんな、新宿2丁目のバーGECKO。