gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 さらば、わが愛〜覇王別姫

1993年。香港・中国。

京劇の人気役者たちの運命を日中戦争文化大革命が翻弄する、という舞台設定の中で、男、女形の男、女のそれぞれの愛のかたちを描いている。

男の現実に対する敗北。打算、妥協、裏切り。女形の男の実(じつ)へのこだわり、それゆえの現実逃避。この二人は他者を本当には理解しようとはない。それに対して女の現実に屈することのない愛。他の二人への理解。

映画の中では、3人の中で一番早く自殺するのは女だが、それは愛がなければこの世に生きる価値はない、という強い想いから来ている。自殺でありながら、彼女は現実から逃げていない。

映画の最後で、京劇の中で自殺する女形の男。そのときに叫ぶ男の顔が、直後に悲しく微笑む。

女形の男は、11年もこのときを待っていたのだ。

3人が狂った時代を生きたことを思う。

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