愛人の子供を堕し、それが原因で二度と子供を産めなくなった女が、正妻の生まれたばかりの娘を衝動的に誘拐してしまう。
娘が4歳のときに女は逮捕され、娘は夫婦の元へ帰るが、幸せな家庭は戻らない。
そして、大人になった娘は、女と同じように愛人の子供を身ごもってしまう。
不幸の連鎖を断ち切るのは、誘拐犯である女から受けた愛情の記憶だ。
娘が大人になった後に、女は登場しない。
生きられる七日を過ぎた「八日目の蝉」とは女だ。どこでどのように生きているか、観る者の想像を強いる。
残念なのは、「正妻は悪、女は善」という明確な構図をつくってしまったことだ。明確な構図は、いつもつくりものに過ぎないのだから。