gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

銃口

30代の頃、銃口を向けられる夢を何度も見た。そのたびに、私は夢の中で取り乱した。目が覚めると、そんな自分にがっかりした。

人間をコントロールしようとする輩は、怖れの感情につけこむ。そんな輩は、死を怖れない人間を怖れる。

いや、人間をコントロールしようとするのは、むしろ自分である。死を怖れるがゆえに、自分は壁をつくって、自ら自由を放棄しようとする。

自由を手に入れたいなら、死への怖れを拭い去らねばならない。


先日、友人に「切腹、できる?」と聞いたら、「できる」と即答された。おどろいた。彼も自分の死に対するシュミレーションを繰り返してきたのだ、と知ったからだ。それだけで、彼がどのくらい強い人間であるかが分かる。


怖れを拭い去るために、こんな想像をしてみた。

銃口はこの世に生まれたと同時に自分に向けられ、引き金はすでに引かれている。スポーツ選手が1秒を何千にも分割できるように、弾が私に届くまでに私は自分の一生分を生きる。

そう、弾は今この瞬間も自分に向かって近づいてきている。

このようなイメージを自分のものにできれば、銃口を向けられてももう取り乱すことはないのではないか。


もう銃口を向けられる夢を見ることはなくなった。少なくとも、30代よりは自由になったのだろう。

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