「今やろうと思ったのに、言っちゃうんだもんなあ！」
西田敏行がすねた声で叫んでいる。年末の大掃除の時期、妻が夫の西田にトイレの掃除をやるように遠くから叫ぶ声に答えて、という設定。
私が１０代の頃の、洗剤のＣＭだと思うが、よく憶えている。大いに共感したからだ。
現在の私も、妻に命令されたことはやりたくない。自分ですすんでやることは、どんなことでも愉しめるが、命令されたことをやるのは、奴隷になったようで、不愉快だ。ヤル気が出ない。
依頼されるのか、命令されるのかも大きな違いだが、もし依頼されたとしても、やっていることが当然視されるようなことはやりたくない。
妻が寝ている間や外出している間に、素知らぬ顔をしてやりたいのが夫の心情である。別に、やったことを気付かれなくてもよい。感謝される必要もない。当たり前のようにあっさりとやって見せたい。
もちろん、それは夫婦間に限ったことではない。たぶん。
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