久しぶりに訪ねてきてくれた友人と話し込んだ。
彼は、大学に入るまで受験のためにたくさんのことを暗記したが、大学に入った後は一切記憶をしなくてよい、と思いこみ、その開放感に浸った学生生活を送った、という。
もっといろんなことを記憶しておけばよかった、という話だったが、私はそう割り切った彼の判断は正しいと思う。
重要なことは頭の中に構造をつくることであって、そこに言葉を放り込むと自分なりの答えに変換されて出てくるようにすることだ。
空間の設計は、まさにそのような作業だ。
構造と同時に、その構造にインプットする固有名が大切だ。例えば、クライアント、お店のあるビル、周囲の町並・・・。それらを直接的に「感じる」ことに集中する。
このようにしてアウトプットされる空間は、取り換えのきかないものになるだろうと信じて。