gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 ワンダフルライフ

是枝監督作品。

死後1週間、天国へ旅立つ前に、それぞれの人生で最も大切な思い出を選ぶ。その記憶だけを天国に持っていくことができる。他は、すべて忘れられる。そんな設定である。

一つだけを選びとる、という作業を私たちは人生の中で何度か体験する。いや、毎日、何かを一つだけ選びとることを繰り返しながら、私たちは生きているのかもしれない。

だが、他の選択肢をすべて切り捨てる、という覚悟をもって選びとっているわけではないかもしれない。後戻りだってできる、と思いつつ、とりあえず一つを選んでいるつもりかもしれない。

にもかかわらず、選びとったという事実は消えない。時間は戻らないのだ。選ばれなかったことは、紛れもなく切り捨てられたのである。生きることは、それ自体、残酷さを伴っている。

したがって、後悔の念を抱えて生きる人は多い。あのことは、最も大切な思い出と呼んでもよいことなのだろうか?誠実であるがゆえに、迷う人がいるだろう。

是枝監督は、ここでも肯定することによって、映画を締めくくる。