gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2011.2

陽向、1歳

あたりまえだが、もう0歳の陽向とは決して会えない。陽向が100歳まで生きるとしたら、人生の1パーセントを過ぎたことになる。ハイハイでなんとか前へ進めるようになって、ビスケットなら自分の手で食べることができるようになった陽向。これを、まだ何…

写真家 今岡昌子

今岡昌子 写真集「ガレキの隣のオンナたち」より今岡昌子さんは、大手会社でのOL生活の後に写真家となって、紛争地をはじめ、危険を省みずに世界各地で、独特のセンスでシャッターを押し続けてきた稀有な女性だと認識している。もう10年近くも前に、写真…

映画 4ヶ月、3週と2日

2007年、ルーマニア映画。友人の中絶を手伝うために奔走する女学生の一日を描いている。チャウシェスク政権末期にあたる1987年のルーマニアが舞台で、国民生活は窮迫し、中絶は法的に禁止されていた中でのことである。ここまで書くと、タイトルの意…

同じ方向を向くこと

何かを一緒にやる集団は、互いに向き合うのではなく、同じ方向を向く者たちであるべきだ、と思う。柄谷行人はどこかの対談で、高校時代にバスケットの選手だったときのことを、「お互いにきらいだったけれど、試合では相手を見なくてもここにボールが来るは…

小説について

ノウハウ本や自己啓発の本を読む人が増えているのを感じる。そのような人たちは、たいてい小説を読まない。読んだことが、自分の人生に直接的に役立つ気がしないからであろう。村上龍のRVRで、彼が芥川賞受賞作品について語っていたが、「洗練されてはい…

中東と日本の不満

中東では、チュニジア、エジプトに続いて、リビア、バーレーンなどに反政府デモが飛び火している。反政府デモ。日本では、内閣の支持率がどんなに低迷しても、そんなものは起きない。決して。中東の国民の不満は、独裁に対して、シーア派の弾圧に対して、な…

ジャングル

現在、ジャングルに関係する飲食店の企画を行っているが、いわゆるジャングルとはどのようなものか。wikipediaによると、ジャングルは熱帯雨林とは異なるものらしい。「熱帯雨林では、濃い植生のために日射が遮られ、地表付近では下草が生長しにくい。 これ…

境界を越えるとき

学生時代、京都から東京まで自転車旅行をしているときに出会った彼は、「自転車で1年かけて日本中を旅している」と言った。「いつ自転車で長距離の旅を始めたのか」と聞くと、愛媛県出身の彼は、「なんとなく自転車を漕いでいたら、香川県へ県境を越えた瞬…

インパチェンス

昨年から今年にかけて、わが家のベランダで最も輝いていたのはインパチェンスだった。5月に買ってきてかわいらしい花をいっぱいに咲かせていたが、7月にカラスに全ての葉っぱを食べられてしまった。残念な気持ちで放っておいたが、9月に見事に復活し、い…

GFアーティストたち

墨田工場を拠点に働くGFアーティストは、4人いる。当然のことながら、それぞれが特徴を持っているから、担当によって違うものができあがる。それこそが、グリッドフレームの魅力である。それぞれが、取り替えのきかない存在として仕事をする。それが、い…

古明地洋哉 untitled#1

http://www.youtube.com/watch?v=n5PV5g69UfgEliott Smithを悼んでつくられた曲だそうだ。「ねぇ エリオット 君がいなくても世界は廻る ねぇ エリオット こんなにも悲しいことはないよ」大切な人を失った悲しみをこのように表す古明地洋哉の言葉に衝撃を受け…

映画 ワンダフルライフ

是枝監督作品。死後1週間、天国へ旅立つ前に、それぞれの人生で最も大切な思い出を選ぶ。その記憶だけを天国に持っていくことができる。他は、すべて忘れられる。そんな設定である。一つだけを選びとる、という作業を私たちは人生の中で何度か体験する。い…

寒さについて

トルコのイースタンブールは、寒さから逃れる場所がなかった。泊った安宿は、暖房がなく、毛布にくるまる以外に暖をとる方法がない。ただ動かずに、ガタガタと震える一夜。寒い国で国際競争力を持つ生産的な活動をし、豊かな生活を築くということは並大抵の…

揺れる光

吉祥寺blue cherryに揺れる光を使いたくて、そのような照明器具を探している。カメヤマローソクの外階段に使用されている、揺らぎ照明はひとつの理想形である。近づいてよく見ると、揺らぎの大きな照明と小さな照明を併用して、全体ではごく自然な揺らぎに見…

熊本弁

母からのプレゼント、熊本弁Tシャツを着せる。「むぞらしか」とは、かわいい、という意味らしいが、熊本出身の私が初めて聞く言葉だ。熊本は広いのである。

大外刈り

柔道に大外刈りという技がある。右の組み手であれば、左足で相手の両足の向かって左外側へ大きく一歩踏み込むと同時に上半身を寄せて、右足を同じく向かって左外側の前に出し、相手の右足を相手の背後から刈り、相手を自分の前方へ倒すという大技である。私…

サスティナビリティと人類

最近、陽向がゴムボールを投げるようになった。そこで、陽向の周囲に垣根を設けて、どこへボールを投げても陽向のところへ戻ってくるようにした。ボールが遠くへ飛んでしまうと、ハイハイが苦手な陽向は途方に暮れるからである。これでずっと遊べるよ、と。…

初雪

陽向にとっては、今日は人生で初めて雪を見た日となった。抱きかかえて、「これが雪だぞ〜」と外へ連れ出すと、庇の下から、不思議そうに曇り空を見上げた。私は、いつ、どこで、初めて雪を見たんだろう?そして、どんな気持ちになったんだろう?陽向の気持ち…

セビーチェ

ペルー、エクアドル、コロンビアを旅行したとき、食堂へ入ったら、メニューの上で適当に指をさして料理を頼んだ。かたい肉と豆の料理だった。毎回、頼んだことのない文字を指差した。しかし、出てくるのは、いつも同じ、かたい肉と豆の料理だった。2週間ほ…

アンパンマンの顔

なぜこれほどまでにアンパンマンが子供たちの間で絶大な人気を誇っているか、私には分からないが、やはり陽向の周りにもアンパンマングッズがたくさんある。人気の秘密を探ろうとして、アンパンマンをじっと見つめる。アンパンマンの顔は、マルだけでできて…

海野次郎さんの展示空間をつくる 1

>わたしの作品は大きく分けて、1.山水 2.裸婦 3.花鳥 から成っています。 >今回もこのシリーズで行くつもりです。展示の空間を考えるにあたって、それぞれの絵画がその周囲に何を求めるか、を問いかけることが重要なのかな、と思います。画面の中の「間」を感…

考える人と考えない人

哲学的な本に興味を持ち始めた頃、そのような本に全く興味を持たない人よりも前進している気がした。そして、そのような問題を自分の生活や仕事に関連付けて考える人は、考えない人よりも世の中で評価されるだろう、と思っていた。考えることと評価されるこ…

デザインの手法

数百の店舗を設計してきても、一定のデザイン手法などない。毎回、まるで初めて設計するかのように机に向かう。そして、時折、頭を抱える。場所を見た途端に具体的なイメージが浮かび、それでデザインが終わってしまうこともある一方で、少しずつ部分的なイ…

映画 空気人形

是枝監督作品。私も あるとき 誰かのための虻だったろう あなたも あるとき 私のための風だったかもしれない途中、朗読される詩が心に沁みいる。そのようにして、花粉が運ばれて、次の生へと命が受け継がれる。世の中は孤独に満ちているように見えて、目には…

ハイハイ

陽向は12ヶ月目に入った。保育園で同じくらいの年の子たちがハイハイをするのを横目で見ながら、ひとり座っている。そう、まだハイハイができないのだ。家でカーペットの上で腹這いになって、前にあるボールに近づこうとすると、手がつっかえ棒になって、…

大相撲の八百長

大相撲の八百長が明らかになった。その問題自体は、「まあそういう力士もいるだろう」と思うだけだが、今回はどのように発覚したのか、の方がより興味をそそった。警察が野球賭博事件の捜査中に調べた携帯メールの中にやりとりの文章が残っていて、それを文…

4年に一度

4年に一度、と言えば、うるう年、オリンピック、ワールドカップがすぐに思い浮かぶ。私は、もうひとつ知っている。外苑のイチョウ並木の枝落としだ。サッカーワールドカップと夏期オリンピックの間の年のこの時期にイチョウの枝はばっさりと切り落される。…

海野次郎さんと奥多摩

正月に水墨画家の海野さんのお宅を訪ねたことは前に書いた。海野さん宅には一昨年に一度、作品を拝見しに訪れている。意図的というわけでもないが、住所も電話番号も持たずに車を走らせた。一昨年の記憶が頼りだ。憶えているのは、赤い橋のたもとの坂道を上…