gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

セビーチェ

ペルー、エクアドル、コロンビアを旅行したとき、食堂へ入ったら、メニューの上で適当に指をさして料理を頼んだ。かたい肉と豆の料理だった。毎回、頼んだことのない文字を指差した。しかし、出てくるのは、いつも同じ、かたい肉と豆の料理だった。

2週間ほどそれを続けて、初めて食べ物に対して「もう嫌だ」と思った。隣で食べている人のテーブルには、いつも私が食べるものとは違う何かが載っている。

セビーチェ。確かそういう名前だった。出てきたのは、魚介のマリネのようなもの。これが、とんでもなくおいしかった。

2週間ぶりに違うメニューを口にすることができて、喜んでホテルへ帰った。が、その直後、ひどい腹痛。その日は、トイレから出られなくなった。

その後、移動をする日は、あいかわらず、かたい肉と豆を食べ続け、どこかへ落ち着くと、セビーチェに挑戦した。しかし、その度に、ホテルの部屋から出られなくなった。

だからこそ、セビーチェは、今も私の中で特別な輝きを放っている。