gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

とらの森

まだその姿を誰も見たことはないが

 

夜になると森からとらの声が聴こえるらしい

 

 

それも1頭や2頭ではない

 

無数のとらの声が聴こえるという

 

 

といっても、雄叫びばかりが聴こえるわけではない

 

もちろん とらもいろんな会話をするのだ

 

声を静めて話すものもいるし、

 

息遣いだけが聴こえるものもいる

 

 

とらは

 

古来、日本にはいないにもかかわらず

 

食物連鎖のトップに君臨する野獣としての強さと

 

その均整のとれた体躯に複雑な模様がなす艶っぽい美しさが共存する、と伝え聞き、

 

ぼくらの祖先たちは、見たことがないゆえに想像を大きく膨らませて

 

遠い昔からその存在に神に似た畏敬の念を抱いてきた

 

 

夕暮れ時になると、とらをひとめ見たいという人が森に集まってくる

 

 

まだその姿を誰も見たことはないが

 

夜になると森から無数のとらの声が聴こえる

 

 

未来の生活 8

リアルであることを

いつも時代は求めている

 

それなのに

リアルでないものに囲まれてしまうのは

きっとそれ以上に

リアルなものに目を背けたい

という願望が強いからだろう

 

ぼくだって

弱っているときはそう願う

 

けれど

リアルなものから遠ざかるくらいなら

生きていても仕方がない

 

ごはんと同じくらいに

リアルなものを必要としている自分がいる

 

 

 

未来の生活 7

詩としての空間は生きる場所にある

 

生きる場所とは飾られた表面的な場所にはない

 

表も裏もない

そう、「働く」場所にあるのかもしれない

 

だから、さまざまな店舗も

働く人のための場所としてつくってきた

 

お客は、「働く場所にお邪魔する」ようにその店を訪れるくらいが理想だ

 

そこにある働く人が紡ぐ詩を感じてほしい

 

 

 

未来の生活 6

ぼくは、かつて訪れた発展途上国で見たものに、自分を違う場所へ連れて行ってくれるような、大切な何かを感じた。

また、留学先のバッファローでは、スクラップヤードに同様な何かを感じた。

 

それらの経験が今のぼくをつくった。

 

ぼくは、そこに詩を感じたのだ。静かに佇めば、音楽が流れた。

 

詩としての空間をつくりたい。

 

その一心でここまで数百の空間づくりに携わらせていただいた。

 

果たして、ぼくはそれを実現できてきただろうか?

 

 

 

 

未来の生活 5

にしのあきひろの「えんとつ町のプペル」を読み返した。

 

陽向はこの絵本をあまり好きではないのか、進んで読もうとしないが、ぼくは好きだ。

 

高い崖に囲まれた煙がもくもく出る工場町に住む人々は、空や星を知らない。

 

つまり、空間の開いている方向を知らない。

 

ゴミ人間プペルと少年ルビッチは、大量の風船をつけた船で煙の上の空へ出て、初めて星空を見る。

 

そこでは、閉塞した世界とは、別の世界が開かれる。

 

詩の世界へ出る。

 

苦しみや悲しみが消えるわけではない。

 

けれど、その苦しみや悲しみは引き受けるに値する。

 

そこに、希望がある。

 

 

未来の生活 4

シェアハウスの生活は、ぼくが学生時代にバルセロナのホステルに泊まり込んで大学院の夏期講習を受けた2か月の生活に近いものがあるだろう。

 

あのときの生活が日常になるのを想像するのは少し困難がある。真剣に設計に取り組んでいたことには変わりないが、心配事も少なかった。

 

ワイワイガヤガヤの生活で、仕事に真剣に取り組むのは、ぼくには難しいかもしれない。

 

だから、プライバシーが必要なだけ保たれることが保証されれば、お金のかからない、そして、寂しくないシェアハウスの生活はありだろう。

 

空間的には、安いに越したことはない、という部分が、今後どれくらい変わっていくか、に尽きる。

 

寂しくない、なおかつ、協力し合って暮らせるシェアハウスの利点が、シェアハウスを選ぶ第一の理由になったら、詩的な空間が次々に実現していくに違いない。

 

 

 

 

 

孤独

寝ている陽向がスッと体を起こして、「ぼく、ひとりなの?」と寝言を言う。

「ちがうよ」と即座に返すと、またスッと眠りに入る。

一人ではないこと。それが人間、一番大事だ。


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未来の生活

生きる上で大事なことは、ぼくらがどうなりたいか、を描いて、そこへ向かって着実に進んでいくことだ。

 

空間については、ぼくは詩の中を生きたい。言葉のないところに、言葉が生まれる。言葉でなくてもいいだろう。そこに、音楽が生まれたり、体が自然に動いたり、新しいイメージが生まれたり・・・、明日へつながっていく。

 

食べなければ生きていけないのと同等に、ぼくが必要としているものだ。

 

あらゆる空間に詩を吹き込みたい。