にしのあきひろの「えんとつ町のプペル」を読み返した。
陽向はこの絵本をあまり好きではないのか、進んで読もうとしないが、ぼくは好きだ。
高い崖に囲まれた煙がもくもく出る工場町に住む人々は、空や星を知らない。
つまり、空間の開いている方向を知らない。
ゴミ人間プペルと少年ルビッチは、大量の風船をつけた船で煙の上の空へ出て、初めて星空を見る。
そこでは、閉塞した世界とは、別の世界が開かれる。
詩の世界へ出る。
苦しみや悲しみが消えるわけではない。
けれど、その苦しみや悲しみは引き受けるに値する。
そこに、希望がある。